これから待望の移植手術が始まる。


4人の移植外科医と2人の麻酔医、それに数人の助手により手術は進められる。


新しい腎臓の受け入れ準備が整った。


新しい腎臓が到着。これから体内に。


移植の瞬間。外科チームの連携が素晴らしい。


カテーテルと点滴が外され、成功を喜ぶ。


初めて自力排尿した直後。
忘れていた感覚が蘇えった。


術後8日目、順調に退院してホテルへ向かう患者様。
腎移植手術のドキュメント
今回移植手術をお受けになった患者様を例に、実際の移植手術をドキュメント形式でご案内いたします。
なお掲載している写真は、医師団および病院の許可を得て当会にて撮影したものです。無断複製および転載は厳にご遠慮ください。

■移植手術5日前
患者様は私共の職員と一緒に成田から空路マニラ入りし、ホテルにチェックイン。
ホテルの客室に病院のラボラトリーから職員が派遣され、クロスマッチング用に血液を採取される。
組織適合検査の段階で判明した患者様のHLAに合致したドナーの血液と、患者様の血液を実際に混ぜ、移植を妨げる拒否反応が起こらないことを確認(クロスマッチングテスト)

■移植手術4日前
病院に入院。病室は、別名「臓器移植フロアー」とも呼ばれる、移植患者様専用フロアーにある個室。
この病院では、多いときには週に5例、通常でも週に3例ほどの腎移植手術が日常的に行われていて、病棟のスタッフは、臓器移植に関する専門教育を受けたスペシャルナースにより構成されている。
透析は透析室にて実施するが、透析室と移植フロアー間の連携が実に有機的になされている。

■移植手術2日前
移植外科チームのほか、腎内科医・心臓専門医・麻酔医・ラジオロジストなど、多くの医師たちが早朝・夜間を問わず病室を訪れ、それぞれの専門的視点から多くの質問が投げかけられる。
同時にこの日から免疫抑制剤の投与が開始される。
免疫抑制剤は、日本の藤沢薬品(現:アステラス製薬)が開発した最新の薬である、タクロリムス(商品名:プログラフ)を軸に、アザチオプリン・プレドニンなどを補助薬として使用。今日からは患者様のみならず、私共や看護婦もマスクを着用。タクロリムスを使用することが出来ない糖尿病性腎不全患者さんや血糖値が高い患者さんには、シクロスポリン製剤であるネオーラルを軸に免疫抑制を行う。

■移植手術前日
最後の透析を受ける。もう二度と使うことがないであろうシャントから2本の針が抜かれると、スタッフから拍手が沸き起こった。
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■移植手術当日
早朝6時から予備の麻酔が筋肉注射により施される。7時、ストレッチャーに乗せられ、手術室に向かう。
手術室では麻酔医による慎重な処置が行われたあと、腹部が広範囲に消毒される。
様々なモニタリング機器が取り付けられ、準備が整うと、移植外科チームのリーダーである Dr. Purugganan により開腹術が開始される。患者さん側の手術を担当する移植外科医は4人。他に2人の麻酔医と数人の助手により、手馴れた手つきで新しい腎臓を迎える準備が順調に進む。
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新しい腎臓が到着。
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4人の移植医の8本の手が自ら意思を持っているかのように目まぐるしく動き、移植手術が進む。摘出から移植まで、わずか19分であった。
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新しい腎臓に血管が繋がれた瞬間、即座に利尿が認められた。
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移植手術終了時刻:午前10時50分。開腹から縫合まで、約2時間50分。麻酔から覚醒した時刻:午後0時15分。
麻酔医が決定したドースが適切であったため、今回の患者さんの覚醒は非常に早く、理想的な麻酔処置であったと思われる。

■移植手術翌日
クレアチニンが 2.8 に下がった。尿にはまだ少し血液が混じっている。
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■移植手術後2日目
クレアチニンは 1.7。尿に血液は見られない。ペニスに挿入されているカテーテルの違和感を感じる。
点滴以外に水を一日最低2,000cc飲むのが苦痛。顔や首に赤みが戻った。

■移植手術後3日目
クレアチニンは1.1。患部の痛みがほとんど消えた。手の爪がピンク色に変わっていることに驚き。足の裏の皮膚にも赤みが差し、綺麗になってきた。血圧も 120/80 と、理想的な値に下がった。全身の痒みも感じない。
腎移植により改善されることは、単に利尿だけではないことを実感。問題としては、お腹に溜まったガスを出すのに苦労した。
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■移植手術後5日目
カテーテルと点滴が外された。自力でトイレに歩き、11年ぶりの放尿に涙。忘れていた感覚が蘇えってきた。
1時間毎に250ccの水分摂取がきつい。長年にわたり膀胱を使うことがなかったので、15分おきにトイレに向かうが、一回の排尿量は、50〜70cc ほどしかない。後に容量が増加することを願う。
クレアチニンは 0.7。
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■移植手術後8日目
めでたく退院。自力歩行で車に乗りホテルへ。
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このあと約2週間ホテルで養生となるが、予後管理のための採血は病院からスタッフがホテルまで来て血液を採取。
また、主治医の Dr. Purugganan も毎日のようにホテルに診察に来てくれるので、病院に通う必要はない。
膀胱が100cc程度まで大きくなった。
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プライベートナースも1日3交代・24時間体制でホテルでもお世話。
膀胱の容量も徐々に広がり、200cc ほどの尿を蓄えることが出来るようになってきた。これで帰国の飛行機にも安心して乗ることが出来る。
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このように腎移植は、もはや実験的医療ではなく、知識・技術ともに確立された医療です。今回の患者様の入院中も、この病院には現地の患者さんはもちろん、タイ・シンガポール・アラブ諸国から多くの患者さんが訪れ、毎日のように移植手術が行われ、また毎日のように退院していきました。豊富な経験を積んだ医師団と優秀な看護スタッフにより、高度で安心した移植医療が受けられます。
透析からの離脱を真剣にお考えの患者様は、ぜひ一度ご相談ください。
なお移植手術後の経過は、患者さんの体力に大きく左右されます。移植をお考えの患者様は、日頃から運動に努めてください。

【ご家族のお付き添いについて】
患者様が臓器移植という重大な外科手術をお受けになるにあたり、ご家族のご心配はごもっともなことですが、通常、患者様は移植手術の2日前から強い免疫抑制状態に入られるため、手術の直前・直後は、患者様の感染症予防の観点から、出来る限りご家族のお付き添いはご遠慮いただいております。
強い免疫抑制状態にある術前・術直後は、病室に在留する人数が少ないことが望ましいため、この期間は臓器移植に関する専門教育を受けたプライベート・ナースと、私共の経験豊富な日本人職員が完全看護態勢で患者様のお世話をさせていただきますので、ご家族の方におかれましては、ご心配もおありでしょうが、どうかご理解ください。
私共では、この期間のご家族の皆様のご心配を考え、毎日電子メールにて、その日の患者様の状態やご様子の詳細をご家族にご報告しておりますので、どうぞご安心ください。
また、ご家族から患者様への励ましやメッセージなどのメールは、ご本人に直接ご覧いただけますので、写真等も含め、ご遠慮なくお送りください。
なお、医師団により退院が許可され、養生のためのホテル生活に入られましたらば、ご家族のお付き添いもよろしいかと存じます。

以上、移植手術のドキュメントでした。